空と海と大地をつなぐ 雨の事典

こだわり出版センター  佐藤達也


 書名が示す通り、全編雨づくしの本だ。「雨」がつく言葉やことわざ、演歌に出てくる雨、浮世絵で描かれている雨のシーン、モンスーンやノアの洪水など、「雨」のすべてを集約した1冊である。
 ただこの本、雨の「もの知り博士」になるための本でもなければ、雑学事典でもない。執筆にあたった「レインドロップス」は、長年、雨水の有効活用を訴え、進めてきたグループであり、雨水利用を通して自然と人間の関係について思いをよせてきた人々である。雨に関心を引き寄せ、雨の果たす役割を話し、そしてその活用の大事さを説き、自然との共生の重要さをさりげなく、しかも巧みに訴えている。
 海外旅行を経験した人は実感するに違いないが、日本は実によく雨が降る国である(本書155ページ参照)。世界中の大都市の中で、東京ぐらいよく雨が降る都市はないのではないか。うっとおしいと言ってしまえばそうだが、それだけ雨の恩恵を受け、水の恵みに溢れた国であると言える。
 しかも日本の雨は実にバラエティに富んでいる。熱帯地方のスコールのように一本調子や時間帯が決まっているものではなく、霧雨(きりさめ)から豪雨(ごうう)と様々なパターンがあり、村雨(むらさめ)のように急に降り、小夜時雨(さよしぐれ)など時間帯もまちまちだ。このため、日本語には実にさまざまな雨の表現がある。雨の微妙な違いをこれほど感性豊かに表現する言語は、ほかにはないだろう。
 日本人は豊かな雨の文化を持ち、先人たちはその有効活用に知恵をはぐくんできた。私たち日本人は、「雨民族」である。その末裔である私たちは、先人達の知恵を生かし、雨水を大切にし、すべての生きものとともに生き、持続可能な社会をつくっていかなければならない。